山の自然学クラブ 事務局ブログ

事務局へ寄せられた、会の活動報告や、会員のみなさまのご活躍を発信します。絵日記担当:中村が更新しています。

2022年初_大蔵喜福理事長メッセージ

2021年会報・はじめに コロナ対応の‟山の自然学”これから

2022年初_大蔵喜福理事長メッセージ
山から始まる自然保護(当会年会報)21号 2022年発行 より

大蔵喜福理事長 巻頭言

コロナ対応の‟山の自然学”これから

 コロナ禍に巻き込まれて、すでに丸2年が過ぎた。第6波は東京だけでも毎日が1万人を超える感染者がでている。オミクロンの変異型ウイルスが次々に現れて、ヒトの体内に取り付き宿っている。この手のウイルスはあるスピードをもって何らかの生き物に移り住まねば、生きられないものらしい。致死率が低いのも殺傷能力が高ければ、移り住んだ生き物を殺すことになり、自らも消滅してしまうからだ。
 現況は高齢者などが基礎疾患を持っていると重症化し致死率、危険度が高いということのようだ。それにしても今までの感染状況の波は、最高値を記録すると徐々に減って、尖がった山形になったが、第6波は高い位置でギザギザを見せる平坦とも思える緩やかなカーブで下がっている。正月三が日後の5日あたりの2千人を最低に、一カ月を経て一日の感染者数は全国で10万人の大台を超えた。一週間その数を維持という今までにない形に。
 一カ月たった後、やっと半分の5万人に下がった。致死率は落ちてきたようだが、蔓延防止対策のお願い的規制程度では、一気の減りはないだろう。東京をはじめ大都市では、通勤電車はほぼ満員で、繁華街の通りは以前と変わらない様相を見せている。マスクこそしているが、ほとんどの人はワクチンを安全の盾に、ストレスを解消しているようだ。
 百年前のスペイン風邪は、わが国だけで39万人が亡くなり2年で終息した。当時の医療事情では救えない命は多々あったかと思うが、スペイン風邪の恐怖は知らなくても、いまだ続くコロナ禍に慣れてしまい“それぞれ勝手に”もうインフルエンザ以下とか、軽々しい風潮になってきた。余り大仰に構えたくはないが、どこに正解があるのか見えなくなってきている。はやい収束を願うがこればっかりは、神様でもご存じあるまい?

 さて、会の総会はオンラインですることにしたが“山の自然学クラブ”としては、机上講座はズームでも行えるが、すべてがリスニングだけではこまる。実際の野山で自然観察をして学ぶことが大切な事は言うまでもない。幸い人の少ない辺地の自然公園には、美しい季節に香しい風が吹いている。コロナは気にならない。さらに山は学び舎であり教師であり、教わることは山ほど埋まっている宝の宝庫でもある。
 この状況の中、密にならないコロナ対策を図っての現地講座を、もっと増やしたい考えで、山の自然学で大自然を楽しんでもらおうと、今、考慮中だ。私の住んでいる南信濃遠山郷エリアでいくつかの企画を練っている。秋から冬にかけトライアルの意味も込め、現地集合の着地型モニターツアーをつくり会員優先で募集しようと思っている。
 もちろんわが会の企画であるが、現地のしかるべき組織、旅行代理店とくみ、早い時期に日程と内容、講師の先生を決め、行いたいと準備している。

以下は‟遠山郷”『不思議の里』モニターツアーで興味ある対象。

南アルプス全域で最古2億5千年前の化石「フズリナ
②西日本を貫く大断層「中央構造線」と活断層としての青崩峠
中央構造線、赤石構造線、仏像構造線、平行せず収斂する木沢地区
④遠山地震震源にできた山と堰止湖
⑤塩の湯 ⑥河原の埋没林 ⑦化石の宝庫 ⑧原生林 ⑨唯一認定された隕石クレーター
昨年のGWに行われた現地講座・遠山郷の続きでさらに掘り下げようというもの。モニターだから参加者の費用は現地集合の交通費だけとしたい。さらに、南アルプス国立公園での自然体験プログラムを幾つか組んで、実行に移したい考えである。
聖岳での二ホンジカの食害でほぼ全滅した高山植物を復元させた現場を学ぶ旅 
② 光岳小屋周辺の自然環境を保全保護する登山道の補修など実践プログラムを体験する旅
聖岳赤石岳へ過去に使われていた登山道復活とその整備の実践プログラムを体験する旅
④ 光岳を中心とした南ア南部の原生林を見て歩き、森林の保全継承を学ぶ旅

南信濃・遠山郷エリアのみどころ
信濃遠山郷エリアのみどころ

南アルプスの成立を理解できるジオポイントとしても楽しめるようなツアーも予定している。
コロナ禍で、開催できなくなる可能性もあるが、山の中だからこそぜひ実践に移したいと思う。

2022年大蔵 1/2
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2022年大蔵 2/2
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