山の自然学クラブ 事務局ブログ

事務局へ寄せられた、会の活動報告や、会員のみなさまのご活躍を発信します。絵日記担当:中村が更新しています。

2020年初_大蔵喜福理事長メッセージ

2019年会報・はじめに 世界中の氷河が無くなる!?

2020年初_大蔵喜福理事長メッセージ
山から始まる自然保護(当会年会報)19号 2020年5月発行 より

大蔵喜福理事長 巻頭言

世界中の氷河が無くなる!?

 地球は19世紀中頃までは比較的寒く安定した環境だった。産業革命後、化石燃料の排ガス放出で温暖化が始まり、今や温室効果ガス・二酸化炭素の世界平均濃度が(‘18年に)407.8 ppm に達し、産業革命当初の1.5倍となった。現在の外気温は、1850年から1900年までの50年平均を一気に1.1℃上回り、2011~2015年の5年間だけで0.2℃上回るとされている。昨年は1850年の記録開始以降最も暑く、北緯48度のパリでも夏、42.6℃を観測。地球全体の気温上昇は驚きの現況で、ここ数年来世界各地で、干ばつ、砂漠化、広大な山・森林火災、陸地の劣化、海水面上昇、凍土融解、氷山・氷塊の縮小、氷河後退・消滅・・・。わが国では台風発生率上昇、大水害、ゲリラ豪雨激甚災害が続き、昨年は箱根で1日に922.5 mmというとんでもない豪雨で、大被害をこうむった。温暖化が地球の大気運動の変化をも促していると言える。
 手をこまねいていると2050年までに最悪4.8℃上昇と推測される。たった数℃と思われるかもしれないが、年平均の地球外気温の変化は過去5000年間で4~7℃程度、氷期を除いてこれなら自然界の生物に大きな影響はでない。ところが100年で1℃上昇となると、これまで地球が経験してきた中で、極めて深刻な問題となる。森林、植物など植生の変化、動物、鳥や昆虫、はては微生物や細菌にまで行動や移動範囲の変動など大きく変わる。生態系の崩壊に繋がる大問題である。中でも森林火災は生態系が壊滅的な被害を受ける。ブラジル、オーストラリア、マレーシア・・・・・と広大な範囲が消滅、動植物は抹消された。特にブラジルは昨年1年間だけで、日本国面積の2割強を消滅。そしてわが国は年間外気温平均値を更新、観測史上最高の1.1℃上昇を記録、この100年で1.2℃上昇なのに、このまま何もしなかったら、今世紀末には東京が屋久島あたりと同じ亜熱帯となり、あと300年後にはアラスカにヤシが茂り、北極にワニが居ることになる。
 人類とその文明は、大自然からの恩恵なくしては成り立たないが、大自然を創りあげている生物のすべては、人類とその文明を全く必要としない。この大前提を思うと、自然破壊である温暖化はすべて人類の責任といえる。人は快適な住まいの中で温室効果ガスを排出しながら『大変なことになってきた』とつぶやく・・・。“人の営みが神を怒らせ罰を受けた”とは宗教的言い回しだが、科学的に言っても人の営みが自然現象の変化を呼び込む原因であることに違いはないのである。
 さて、こういった気候変動のきざしを探るには、人の営みのない極地や高々所の気象や氷河、氷床、高山の積雪などを調べるのが順当とされる。私は昨年まで30年間アラスカ・デナリ山(マッキンリー)の5,715 mに観測所を作り調査をしてきた。外気温のデータからは明らかに温暖化が表れている。特に氷河は目に見える変化として世界中に注目されている。20世紀中頃から氷河の後退が問題視され始め、世紀末ごろからは融解が一気に加速。その激しい温暖化が世界中の山々と氷河にどのような影響をもたらしたか?
 地球の低緯度・中緯度地域での氷河は、高山帯にある山岳氷河、頂上周辺に氷冠といった形で存在する。広域氷河を持つ地域として、ヒマラヤ、ロッキー、ヨーロッパアルプスなど、氷冠ではキリマンジャロケニア山などがある。これらの氷河は現在後退が観測され、特にアルプスでは消滅あるいは大幅な後退が確認されている。またヒマラヤとヨーロッパでは、氷河湖決壊洪水で下流域の村落に大きな脅威ともなっている。南極には大陸氷河・氷床、北極は氷海・氷山。海水温の上昇により北極は南極より気温は高く、大規模な融解は日に37億トンとも伝えられ、氷床の分離・崩落による漂流も報告され、海面上昇は1901年から2010年の間に19 cm、2100年には最大82 cmとなり、世界の4割の人々に影響を及ぼすといわれる。北極圏に近いアラスカやグリーンランドなどの沿岸部の大陸氷河は、凍土も融け氷河を支える力を失い、融解が一気に進む傾向だ。

ヨーロッパアルプス 2019

 スイス連邦工科大学雪氷学者マティアス・フス氏によると「1850年以降、推計では500本の氷河が完全に消滅した。そのうちの1割が著名な氷河」と指摘する。スイス氷河モニタリングネットワークによると「スイス国内氷河の8割近くが小規模で、約4000本が点在し、生み出される水は数百万人もが恩恵を受けている。」といい「温室効果ガス排出量を抑制しない限り、アルプスの氷河は今世紀末までに、ほとんど消滅するだろう」と警鐘を鳴らす。氷河の融解は人々の生活手段をも脅かしている。

キリマンジャロ5,895m 1989~2016

 赤道の直下にあるアフリカ最高峰は、世界で最も高いコニーデ型火山。地元の'13ガイドマップにはこう記されている。“氷河の表面は2000年に2.2 平方kmだけになり、1900年に12.2 平方kmあった頃から82%も後退しました(100年間に約1/6に縮む)。そして、主に地域性の高い気候変動と地球温暖化の影響のために、1962年に記録開始以来、1年につき半メートルも後退が続き、研究者は2015~2025年の間にキリマンジャロの氷河は消失すると予測しています。”年間降水量は、南からの季節風に直面する南斜面2,000 m以下で2,000~3,000 mm。しかし4,200 m以上のサドル高原では250 mmと劇的に減少、氷河の蓄積となる降雪は望めない。氷河面積150 平方km(東京ドーム3,000個分)を誇った最終氷期には、氷河の平衡線高度は南側で4,500 mあたり、北側で5,100 mとされ、現在の氷河面積の80倍ほど。今、約2 平方km以下である。頂上の気温も30年前は夜明けでマイナス15℃ほどだったが、今やマイナス10℃前後である。

キリマンジャロ頂上クレータ東のスタフェングレーシャー 1989年と2017年/大蔵撮影

ネパール アイランド・ピーク6,190 m 1995~2019

 昨年(2019年)3月、アイランド・ピーク登山で異常ともいえるような状況に遭遇した。頂上氷河はガレ場が表面化し、頂上へはロープにぶら下がりの登行、それまでの氷河ルートも危険がいっぱい、登ることが深刻な状況となっていた。エベレストをはじめ8,000 mの連なるクーンブ山群のローツェ峰直下、ヒマラヤ入門の山として世界中の登山者に愛されているこの峰は、このまま温暖化が進み氷河の崩壊が続くならば、数年のうちに誰も登らなくなるだろう。10年来、クレバス等少しずつ増えていたが、ここ数年に至っては1年毎に大きく変化、温暖化の波が押し寄せている。私の4回の登山経験が約10年毎なので写真で比較してみた。2001年までは変化は少ない。2009年ころより5,850 m以上の上部内院氷河の末端にクレバスが表れ始め、その後短いハシゴ等も使われ出したが、以前は全く危険なところはなかった。いずれにせよ氷河の衰退は幾多の登山ルートを難しくしていることに違いはない。

2001年11月のアイランド・ピーク ヘッド・ウォール/大蔵撮影

2019年3月のアイランド・ピーク ヘッド・ウォール/大蔵撮影

 私たち山を登り自然を学ぶ者たちは、自然の代弁者として、見て聞いて触り、大自然からのメッセージを、人々に伝える義務がある。自然保護とは人の奢った発想からくるもの、大自然に入り込んで何が起こっているかを知るべきで、保護のために立ち入りを規制する等は全く意味のない事である。気象変動への危機感は、生態系の崩壊、生物の絶滅という危機と同様に考えなくてはならない。自然に対し、依存度の高い人類もただでは済まないのである。『水・空気・エネルギー・食料・・・諸々』個々の身に直接及ぶ重大問題として、一人一人の意識改革をもって、温室効果ガス抑制に少しでも役立つ生活の工夫を考え、これからを乗り切っていきたいと思う。


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山の自然学カレンダー2020 5月・新燃岳火口内に咲くミヤマキリシマ

山の自然学カレンダー2020 5月・新燃岳火口内に咲くミヤマキリシマ

2020年5月「新燃岳火口内に咲くミヤマキリシマ(2011年噴火前の光景)」/黒木 康文

山の自然学クラブでは、2019年から「山の自然学カレンダー」を製作しています。会員から自然や自然保護に関する写真などを募集して、各自の研鑽に役立てていただく、また、活動のアピールをしていただく活動です。
2020年5月版は霧島ジオパークでガイドもされている黒木 康文さんからの応募作「新燃岳火口内に咲くミヤマキリシマ(2011年噴火前の光景)」が採用されています。


2020年5月/黒木 康文・新燃岳火口内

撮影:黒木 康文
撮影場所:霧島 中岳中腹
撮影年月日:2009年5月23日
撮影対象:新燃岳火口とミヤマキリシマ

添えられたテキスト:
霧島新燃岳は2011年1月に300年ぶりの大規模噴火を起こした。その前の2008年8月にも小規模噴火があり,火山活動の影響からか,2009年5月には以前の美しいエメラルドグリーンの火口湖は茶色に変色していた。火口縁の登山道には,硫化水素臭が流れてきていたが,火山に強いと言われるミヤマキリシマは火口内でも花を咲かせ,火山とともに生きていた。(新燃岳火口は2011年の大規模噴火以降,溶岩で埋まっている)



山の自然学カレンダーにこれまで応募された作品について、および 2020版(応募案内)についてはホームページをご参照下さい。

「山の自然学カレンダー2021」 については、2020年9月に作品の公募を行い、11月に作成する予定です。会員のみなさんは、ぜひ日頃気になった風景や景色、自然現象を記録していただき、すてきな作品を応募して下さるよう、お願いします!
製作したカレンダーは 一定以上のご寄附をいただいた方にお渡ししています。
詳しくは事務局へお尋ね下さい。

山の自然学カレンダー2020 4月・根尾谷の淡墨桜/春色満彩

山の自然学カレンダー2020 4月・根尾谷の淡墨桜/春色満彩

山の自然学クラブでは、2019年から「山の自然学カレンダー」を製作しています。会員から自然や自然保護に関する写真などを募集して、各自の研鑽に役立てていただく、また、活動のアピールをしていただく活動です。
2020年4月版は小林一義さんが岐阜県の根尾谷で撮影した薄墨桜の写真と、
池田昌史さんが春の裏磐梯で撮影した「春紅葉」の応募作が採用されています。

山の自然学カレンダー2020 4月

2020年4月(1)「根尾谷の淡墨桜」/小林一義

撮影:小林一義
撮影場所:岐阜県本巣市内根尾谷
撮影年月日:2019年4月9日
撮影対象:根尾谷の淡墨桜(彼岸桜 和名:エドヒガン)

添えられたテキスト:
岐阜県本巣市内根尾谷にある樹齢1500年のエドヒガンの大木。蕾(かすみ)のときは薄紅色、満開時は白色、散り際は淡い墨色に変わる。昭和23年頃枯死寸前になったが、シロアリ駆除、山桜の若根の残根への根接ぎ、施肥、消毒、支柱設置などにより、70余年も延命し、今も見事な花を咲かせる。蘇生と延命への関係者の弛まぬ努力と熱意、樹木の蘇生・延命技法の進展に、感動する。

2020年4月(2)「春色満彩」/池田昌史

撮影:池田昌史
撮影場所:裏磐梯 桜峠
撮影年月日:2019年5月9日
撮影対象:春の彩り(春紅葉)

添えられたテキスト:
日本の春は彩りが豊かで、カタクリ福寿草等のスプリング・エフェメラルから始まり、桃・杏・桜そして若葉の新緑が私たちの目を楽しませてくれる。晩春の裏磐梯の桜峠で、芽吹きの彩り“春紅葉”に遭遇した。春紅葉が見られる時期は短く、珍しい自然美との一期一会でした。


山の自然学カレンダーにこれまで応募された作品について、および 2020版(応募案内)についてはホームページをご参照下さい。

「山の自然学カレンダー2021」 については、2020年9月に作品の公募を行い、11月に作成する予定です。会員のみなさんは、ぜひ日頃気になった風景や景色、自然現象を記録していただき、すてきな作品を応募して下さるよう、お願いします!
製作したカレンダーは 一定以上のご寄附をいただいた方にお渡ししています。
詳しくは事務局へお尋ね下さい。

お知らせ/4月の行事について

お知らせ/4月の行事について

山の自然学クラブで予定していた 4月の行事2件の実施についてのご案内です。(4月1日・記載した内容に変更があったので、一部修正しました)

4月5日 井の頭公園

幹事役の吉川さんから、
4月5日に予定していた井の頭公園でのお花見会について
 東京都が公園の宴会利用をしないようにとの案内をしていることから、中止することになりました。
 残念ですが、桜の花は各自で楽しむことに致しましょう。

こちらのご案内を頂きました。残念な気持ちがにじみ出ています;
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4月11日 景信山

こちらも 懇談会行事ですが、4月11日に日程を変更して実施する予定でした、景信山でのお餅つきですが、幹事の秦さんから 参加者からキャンセルもあり、実施の目途がたたなさそうだとのご連絡を頂きました。
ということですので、今回の開催は見送ることに致します。

今後の懇談行事について

今後の 懇談行事の企画については 順次 検討していきたいと思います。
なにとぞご了承の上、アイデア、企画のご提案 お待ちしています!

最近は屋外の施設などについても閉鎖されたりするなど、なかなか予定のたてにくい状況が続いていますので、行事の実施方法などを含めて 変更があり次第 適宜ご案内したいと思います。
どうぞよろしくお願い申し上げます。


なお、「山の自然学講座2020」 については、日程を延期する等 状況に応じて変更することにさせて頂きますが、中止にはせず、全回の講座を何らかの形で実施する予定です。変更事項は各講座のサイトをご覧頂けばわかるようにご案内を致しますので、そのようにご了承ください。
http://www.shizen.or.jp/basic/index.html
ご都合に合わせて ぜひご参加下さい。
また、ご不明なこと、振り替え受講の問い合わせなどは随時対応させていただきますので、気軽にご連絡下さいましたら幸いです。

2020年・3月11日に思うこと

3月11日によせて・2020年

東北地方太平洋沖地震から9年が経ちました

3月11日の 数日前にこの記事を書いています。今回は予約投稿機能を使って、3月11日の投稿に設定しました。
今年は令和2年・2020年になりました。

ここしばらくの期間、今年からの会での取り組みについて、そして自身の研究や活動について考え、取り組み始めています。
2011年の震災から9年も経ってしまったのだと、おもいはいろいろです。時間が止まったように思ったことも、時代がさかのぼってしまったのではないかと思ったことも、たびたびありました。そしてもっと自分にできることはないのだろうかとも考え続けてきました。
三陸地域での活動に限ったことではありませんが、これまで「山の自然学クラブ」の活動が継続できたのは、なにより、会を支え、楽しく一緒に行動してきた仲間があってのことと考えます。退会されるなど、現在は会に参加していらっしゃらない方を 含めて、一緒に行動してきた仲間たちに、なにより感謝したいと思います。
山の仲間はいつでも行動がしっかりしています。自分も前向きになることができる仲間がいてくれて本当によいものだ と この会に入ってからじんわり、そして心から思うようになりました。

さて、弱冠のおもいおもいが入らざるを得ない毎年この日ですが、
2001年に法人となった「山の自然学クラブ」は2020年、創立から20年の節目となります。大蔵さんを中心に、20年を記念できるような行事・活動を考えていく予定です。
楽しい仲間達と さらに前向きに取り組むことができるような活動を考えていきたいと思います。


2020年になりましたが、3月11日を迎えるにあたって 2011年の年末、会報第11号の製作がほぼ終わった頃に大蔵さんと一緒に考えた文章を読み返しました。会として、自然と仲間と共にありつつ、自然保護を実践するものの立場から考えることは、この言葉につきます。省察をかね、あらためてここに記したいと思います。

会報11号巻頭のことば・大蔵喜福理事長

(テキスト)2011年12月
ご親戚、ご友人含め、東日本大震災はじめ今年発生した災害により被災されたみなさまに、謹んでお見舞い申し上げます。
自然に携わる活動をする人間のひとりとして、今年発生したたくさんの自然災害や事故の報に接し、悲痛な思いを禁じ得ません。会としてできる事を整理しながら、今後も活動を検討していきたいと考えております。

震災やその後の輪番停電の混乱などにより、残念ながら当会においても、予定していた活動や行事の多くが実施を見合わせたり延期したりすることを余儀なくされました。

当会はもともと、「山から始まる自然保護」をモットーに、“自然に学び、自然を守る”活動をしてきました。「これまで行ってきた活動をきちんと責任を持って続けることが、一番の復興活動である」ことが基本方針です。加えて、現地講座や活動をできるだけ被災した地域で行うなど、復興支援にも寄与する活動を積極的に支持します。それぞれの会員・理事が積極的に活動して下さることを会としてもバックアップしていきます。また、現地で活動を行っている環境保護関連の団体や教育機関と積極的に連携をとりながら、活動を継続したいと思います。
多くの災害や事故、そして電力不足に悩まされた今年一年でしたが、会員ひとりひとりの意識と行動の結晶として、この会報11号を発行できることを誇らしく思います。これからも大切な仲間と共に歩む会であり続けます。会員諸氏のますますの活躍を期待致し、発行のことばと致します。

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2017年に NTT東日本が「震災から芽生えた想い × NTT東日本の想い」という動画を作成しました。2018年に公開されたようです。現地のみなさんのためになればと思って、取材に少し協力いたしましたが、当会のPRのためのものではありませんので、公開時には理事会で報告したくらいで、とくに広くアナウンスはしませんでした。

が、たまたま先日 ホームページを見ていたら結構しっかり画像を残して下さっていて、ありがたいなと思いました、というのと、やはり「活動はまだまだこれから!」という自分の気持ちを新たにしましたので、ブログでも掲載場所をご案内(?明記?)することにしました。映像は仙台沿岸の「森の防潮堤」の活動をしている陶山さん達の活動と、海べの森をつくろう会さんと山の自然学クラブで進めている地域の植物を育てる活動 を紹介して下さっている内容です。
サイト内で変更があるかもしれませんので、リンクははりません。
お時間のあるときに見ていただけると嬉しいです。

NTT東日本 WEBサイト > 企業情報 > 広報宣伝活動 > EASTギャラリー > 人の想いは、つながっていく
2018年公開映像

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(Webサイトのキャプチャ画像です)

山から始まる自然保護2020(総会および記念講演会)

山から始まる自然保護2020(総会および記念講演会)

知られざる北アルプスの雪の世界 -雪の壁から氷河まで

飯田肇さん(富山県立山カルデラ砂防博物館)講演会/山の自然学クラブ定時総会

2020年2月29日に定時総会および記念講演会「山から始まる自然保護2020」を行いました。今年は閏年で、貴重な2月29日がちょうど土曜日でしたので、この日にした、という経緯もあります。
今回の記念講演会は 富山県立山カルデラ砂防博物館の飯田肇さんにお越し頂き、最近のそして最新の日本の氷河について、ご講演をお願いしました。大蔵理事長からみなさんへのごあいさつの後、さっそくご講演を拝聴しました。

東京育ちの飯田さんですが、話の端々からは あふれる"富山・愛” と、山や自然に対する愛着を感じることができ、そのことも含めて、楽しくお話を伺うことができました。

飯田さんと大蔵理事長のあいさつ(2020年2月29日)

まず、話の導入は「雪」と「氷」についての詳しいご説明から。山へ行くもの、雪を知らなくてはなりませんが、なかなか奥が深いです。雪は美しく、そして多様性に富んでいます。また、すばらしい自然景観を形作る重要な構成要素でもあります。知っているつもりのことでも改めて整理して伺ってみると 原則的な性質や温度、自然現象や自然景観との関わりなど、わかりやすいお話で、よく理解できました。

立山黒部アルペンルートは日本でも有名ですが、アジア圏の方々にはたいへん人気があるそうで、特に近年は日本観光で訪れたい場所の上位を占めるようになっているそうです。確かに、毎年あれだけの雪が積もり、フレッシュな雪の壁を車で行って楽しめる、貴重(レア?)な場所です。

2002年から2007年の室堂平(標高2,450 mで平坦な場所)の積雪は6~9 mで、積雪の密度は450~500kg/立方m なので、冬期の降雪量は3,000 mmにもなり、降水量3,000 mmと合わせて年間6,000 mmもの年降水量であると推定されるそうです!この豊富な水量が富山平野を潤しているのですね。

最近、ホットな話題の多い日本の北アルプス北部にある氷河について、たくさんの写真や資料を見せながら説明をして下さいました。長年の調査の経験がある飯田さん、本当に話しきれないほどの体験をされていることと思います。
飯田さん達の調査により、2012年に初めて氷河が認められました。日本には氷河(重力により長期間にわたって連続して流動する雪氷体、定義されるそうです)がないとされてきましたが、飯田さん達は氷体の厚さと流動量を調べて、いくつかの雪渓には氷河の特徴があることを発見されました。剣岳の三ノ窓、小窓雪渓(氷河)、立山の御前沢雪渓(氷河)が氷河であることが認められ、極東地域の氷河の南限位置が大きく南下しました。
その後、剣岳の池ノ谷雪渓、立山の内蔵助雪渓、鹿島槍ヶ岳のカクネ沢雪渓が2018年に氷河であることがわかりました。

知られざる北アルプスの雪の世界 -雪の壁から氷河まで-(飯田肇さん)資料の一部

最新のGPS測量による調査の結果により、内蔵助雪渓が氷河であると証明できたそうです。以前、調査で底に入ったときの写真や映像を見ながら調査の様子を振り返ってお話しされました。
「内蔵助雪渓が氷河となって一番嬉しいのは、一般の登山者が行くことができる(一般的な登山道の近くに現存する)ことです。氷河の見学会やガイドツアーが実施されて多くの登山者に日本の氷河を体感してもらいたいと思います。」とおっしゃっていました。

さらに最新の発見として、2019年の秋に唐松沢雪渓も氷河であることが確認されたそうです! この発見により、日本に現存する氷河は7つとなったそうです。
これら北アルプスの氷河は、地球上でもっとも温暖な地域に存在する氷河であるとも言えるそうです。北アルプス北部の降雪量が世界有数であることの一つの証しでもあるかもしれません。これからの詳しい研究の進展が楽しみです。


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講演会の終了後に、定時総会を執り行いました。2020年の活動が始まっていますが、各担当の理事から活動内容や予定をご紹介いただきました。今年も楽しい行事や活動を継続していきたいと思います。

飯田さん、楽しいお話をありがとうございました。
参加して下さった会員のみなさん、ありがとうございます。そして、これからもよろしくお願いいたします。


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新型コロナウイルスの感染が広がっており、今回の講演会等も延期してはとの意見もありましたが、開催できてよかったと思っています。山や自然を相手に行動する当会のメンバーとしては、各自の責任で行動判断するべきです。もちろん そのときの状況に応じて、できる対策・対応を考えてしっかりやることは大切です。
自然災害やアクシデントの発生時、登山パーティでも、組織等においても、対応を決める立場にある人間は、根拠や経験に基づいた状況判断と、専門的な見地を優先的に、一番適応的だと思われる対応方法とその順番を決めていくようにしていかなくてはなりません。あいまいな判断を持ち出して人の不安をあおるようなことをすると、正しい判断を阻んでしまう可能性があります。山や自然の中で 判断をして行動できる力をしっかり身につけていくことが、これからも 会としてまだまだやらなくてはならない、できることでもありそうだな と感じています。

山の自然学カレンダー2020 3月・お猿畠の大切岸

山の自然学カレンダー2020 3月・お猿畠の大切岸

2020年3月「鎌倉 お猿畠の大切岸(おおきりぎし) 」/杉山 顕一

山の自然学クラブでは、2019年から「山の自然学カレンダー」を製作しています。会員から自然や自然保護に関する写真などを募集して、各自の研鑽に役立てていただく、また、活動のアピールをしていただく活動です。
2020年3月版は杉山さんからの応募作「鎌倉・お猿畠の大切岸-不思議な造形」が採用されています。

お猿畠の大切岸/杉山顕一

撮影:杉山 顕一
撮影場所:鎌倉 お猿畠の大切岸(おおきりぎし)
撮影年月日:2019年4月22日
撮影対象:お猿畠の大切岸の断崖の不思議な風化

添えられたテキスト:
「 お猿畠の大切岸(おさるばたけのおおきりぎし)」は、三浦層群の池子層(鷹取山火砕岩層)からなる断崖が幅800 mにわたって連なる14~15世紀頃の石切り場の遺構。断崖は凍結融解の繰返しの風化で凝灰質砂岩の硬い層が残り、軽石を含む軟らかいシルト部分が浸食され、露頭面に不思議な凹凸が作られた。


山の自然学カレンダーにこれまで応募された作品について、および 2020版(応募案内)についてはホームページをご参照下さい。

「山の自然学カレンダー2021」 については、2020年9月に作品の公募を行い、11月に作成する予定です。会員のみなさんは、ぜひ日頃気になった風景や景色、自然現象を記録していただき、すてきな作品を応募して下さるよう、お願いします!
製作したカレンダーは 一定以上のご寄附をいただいた方にお渡ししています。
詳しくは事務局へお尋ね下さい。