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山の自然学クラブ 事務局ブログ

事務局へ寄せられた、会の活動報告や、会員のみなさまのご活躍を発信します。絵日記担当:中村が更新しています。

2015年初_大蔵喜福理事長メッセージ

2014年会報・はじめに 山の日について考える

山から始まる自然保護(当会年会報)14号 2015年2月発行より
大蔵理事長 巻頭言「はじめに」

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 来年、2016年から8月11日が国民の祝日「山の日」となります。山の日制定のスローガンは、「山に親しみ、山の恵みに感謝する」というものです。その理念は、山と森の国日本の山岳信仰と豊かな大自然、森林の恵みと清流の水に感謝し、米を核とした農耕文化を営々と築きあげてきた歴史を踏まえて生まれたものです。登山を愛するものとしては素直に「山の日」実現を喜び、日々の生活に結び付いた自然(山も海も)への畏敬の念を忘れずに、山に登りたいものです。
 「山の日」構想が初めて世に出たのは、半世紀以上前の1958年の富山県立山でのある登山集会での提言にあったとされています。10月3日を登山の日にという運動も数十年前から耳にします。オフィシャルな声として提案されたのは、国連が定めた「国際山岳年」の催しがあった2002年です。当時、元々各地にあった山に関する「山開き」や「開山記念」などの記念日とともに、それぞれの「山の日」がすでにいくつかの山岳県にありました。その後、増大する登山者とともに多発する遭難事故を防ぐ契機に、また自然災害への対応も視野に入れた危機管理の教育、子供たちの自然への理解と情操教育にも登山の利用をと、多くの県で「山の日」が制定され、その活動は高まりを見せてきました。
 「山の日」を国民の祝日にするという願いは、八年後の2010年、広く全国的展開を望む声に押されて、日本山岳協会、日本勤労者山岳連盟、日本山岳会、日本山岳ガイド協会、日本ヒマラヤンアドベンチャートラストの五団体が制定協議会を組織、運動を推し進めることとなり、地方自治体代表、行政、政治家や森林業者等も含めた全国的な組織に発展、“水源の山を守ろう”と立ち上がった植林などの実践を行う漁業関係団体等の支持も集めました。
 2012年10月に協議会では本格的に「山の日」制定をめざし「『山の日』ネットワーク東京会議」を開催、登山やアウトドア団体、自然環境保護の諸団体、環境省国土交通省など関係省庁、県知事や地方自治体代表ら100人余が参加しその機運を一気に盛り上げました。また国会での法改正のための超党派議員連盟も生まれ、動きが加速されました。
 こうした中、祝日の決定では過去に例を見ないスピードで、昨14年に国会で可決し、16年の8月11日に施行されることになりました。その決定には、祝日のない月(6月と8月)、子供たちが夏休みである、休みとして社会的影響の少ない旧盆の前後、など様々な影響の薄いことが理由のようです。当初8月12日という日が候補に挙がりましたが、群馬御巣鷹山での日航機墜落事故鎮魂の日と重なりその前日となりました。なお、協議会は今55団体と約100人の個人で構成されています。

 元々「山の日」は登山者だけのものでもなく、広く山岳、山地、里山をめぐるあらゆる人々と対峙する大自然が対象となるものです。“山”は森林、植生、動物、鳥類、虫類、水源、河川・・・自然そのものです。山に登り山を学ぶことは、自然からの恩恵と脅威、受難を深く考え、その利用と保護といった、相反する軸のバランスをどう定めたらよいのか考える良い機会となります。人それぞれが何かしらに気付くことが大切です。そのために特に次代を担う子供たちを中心に、夏の良い時期に「ファミリー登山」、「低山」、そして学校での「登山」を実践し、自然を理解し親しむことに向けてほしいと切に願います。また地域社会にとっては「山の日」をシンボルとして活性化の旗印にしてほしいと思います。自然保護とともに、地球環境問題はさらに深刻な状況です。そのために、里山森林資源の有効活用といったエネルギー問題等にも意識と関心を持ってもらいたいものです。
 国民の祝日「山の日」には、その意義をより多くの人たちに理解してもらおうと、協議会に参加する諸団体は、その施行までに登山に関するイベント等、主旨に応じた企画モノを打ち出そうと準備に余念がないようです。私たち「山の自然学クラブ」もその理念に則り、何ができるのか、何ならやってみたいのか、会の活動のひとつとして企画することは価値のあることと思います。自然に親しむ中で、自然の保全・保護の重要性を認識してもらう啓蒙活動が我々“山の自然学クラブ”の大きな役割ですが、「山の日」をアピールするだけではなく、どのように活用できるかを会員の皆様同士で知恵を絞って考えることも、会の新しい発展に繋がることと思います。本年も皆様のご協力を切にお願いいたします。