山の自然学クラブ 事務局ブログ

事務局へ寄せられた、会の活動報告や、会員のみなさまのご活躍を発信します。絵日記担当:中村が更新しています。

十三浜プロジェクト・建築の現地組み立て設置_十三浜地区

十三浜プロジェクト・建築の現地組み立て設置_十三浜地区

2016年4月30日~5月2日 石巻市北上町十三浜地区にて

日本工学院八王子専門学校の学生さんが2015年の「はじめての建築」課程で、設計、製作した建築を、現地に運搬して設置・組み立てをさせて頂きました。今年は大きく分けて2カ所(石巻市北上町十三浜地区、気仙沼市本吉地区)にわけて運んでおりますが、今回はそのうちの1カ所・十三浜です。

このプロジェクトは相川地区のみなさんと活動を始めさせて頂いた頃、津波浸水地でスギやマツなどの立木が枯れかけてきて、何とか有効活用出来ないかということで始まったプロジェクトです。これまでに多くの方に協力して頂き、進めてまいりました。
山の自然学クラブが日本工学院八王子専門学校および関連団体と連携して進めている「十三浜プロジェクト」については、ホームページをご参照下さい。
(十三浜プロジェクトのページ)

4月30日、八王子から製作を運んできたトラックが到着しました!
みんなで数カ所に分けて荷下ろしをします。

今年も自治会のみなさん、北上総合支所などと相談させて頂きながら、何カ所かに設置させて頂く予定です。まず今回は、あたらしくオープンしたばかりの復興まちづくり情報交流館さんに、屋根付きベンチを置かせて頂くことに。
休館日でも座って休んで頂くことができたらと思います。
 
今回はこの小屋のデザイン考案者である学生さんが一緒に来てくれました。自分の考えた作品がこのような形で現地で活用してもらえることに感激、一生懸命設置作業をしてくれました。少しでも多くの方に使って頂けたら、と思います。
完成してみると、ちょうどセンターの子どものようです。

子育て支援センターにもベンチ?遊具?を置かせて頂きます。
  

ちょうど八重桜が満開。きれいですねぇ。
さっそく園長先生が見に来て下さいました。座るとちょうど園庭を見渡すことができるので、保護者の方にも使って頂けそうですね。夏は布で屋根をかけるとよさそうです。

そしてこのプロジェクトの大切な仕事は、以前持ってきたものを使って頂きやすいよう、また、使い続けて頂けるよう、繰り返し手を入れていくことです。子育て支援センターに昨年持ってきた作品は少し材が縮んできてトゲなど出てきてしまっています。少し時間をかけてやすりがけをしてみます。
これで手で触っても大丈夫かな... また作業に来ます!

ネパールの活動報告

ネパール活動・寄附の報告

2016年3月22日~4月5日にネパールに活動にいらしていた長谷川さんから、みなさんに報告が届きましたのでお知らせ致します。
向こうの様子を撮した写真も頂きましたので、掲載しています。
こちらのフォルダにまとめて掲載しました。

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以下、長谷川さんからのメッセージです。

今日は、ネパール藪椿普及活動の長谷川です。
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「熊本地震」連日の悲惨な状況を拝見し現地の方にお見舞い申し上げます。
予想される「首都直下型地震」に対応した準備・訓練を進めねばと考える次第です。
さて、首記の活動3月22日~4月5日予定通り終了しました。

去る2月27日の通常総会時に<ネパール地震義援金>を募らせて戴き多くの方からご厚意を戴きました。
3月24日に肥後松男さんとカトマンズ在住のシャム・パパドール・ドンゴルさんにお渡ししました。
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皆さんに宜しく伝えて下さいと言っていました。
シャムさんは日本語学校を経営され1000人以上の卒業生を送り出され、
日本の個人や団体がネパールを訪れた際にガイドやコーディネートをしている篤志家です。
 
地震後1年過ぎ、活動地のカトマンズ市内は落ち着きを見せていますが、郊外、山間部は未だ復旧作業は進められていませんでした。
一方、ポカラは殆ど影響なしです。

以上、ご報告申しあげます。
長谷川博文

十三浜プロジェクト・建築の現地組み立て設置_気仙沼

十三浜プロジェクト・建築の現地組み立て設置 気仙沼

2016年4月23日~24日 「海べの森をつくろう会」さん活動地にて

2016年4月23日~24日、日本工学院八王子専門学校の学生さんが2015年の「はじめての建築」課程で、設計、製作した建築を、現地に運搬して設置・組み立てをさせて頂きました。
山の自然学クラブが日本工学院八王子専門学校および関連団体と連携して進めている「十三浜プロジェクト」については、ホームページをご参照下さい。
/report2015_13hamaPro.

今年ははじめて、気仙沼地区でも作品を使って頂けることになりました。
いつもお世話になっている「海べの森をつくろう会」さんの活動地である果樹園に置かせて頂けるとのこと、事前に打ち合わせなどさせて頂きながら、持ってくる製作品を選びました。
(海べの森をつくろう会さんホームページへのリンク)

今回は、陽射しを避けられるベンチなどを設置させて頂きました。
海べの森をつくろう会さんの活動されている土地は農地ですので、いつでも動かせるくらいの大きさでちょうどよいのかなと思います。

今回は製作に携わった学生さん、教員のみなさん、そして、4年前のこの活動開始から来て下さっている元学生さん=OBになった方も、参加してくれました。こうやってみんなで現地に何度も足を運んで一緒に活動が続けられて、本当に嬉しいです。

できてみると、農園の雰囲気に結構しっくりあっているような気もしますね... 

遊びに来てくれる子ども達など、みんなに使ってもらえたら私たちも嬉しいです。・・と思っていたら、組立を終えたみんながさっそく最初に使っていたりして;気持ちよさそうです。

陽射しが強くなってくるこれからの季節、いいかもしれません。

土曜日の作業終了後、海べの森をつくろう会のみなさんがごちそうを用意して下さっていました!!
シーズン終了間際の牡蠣と、ホタテを舞根からわざわざ取り寄せて下さいました。こちらは炭をおこしてバーベキュー。

そして、季節のじゃこや野菜をのせた焼きたてピザ。この釜は、今年私たちが運ぶのをお手伝いしたレンガを組み立ててつくった簡易ピザ釜です。有効に使って下さって、本当に嬉しいです。
 
このピザは、みなさんが手作りで生地から作って下さったものです。昨日出しておいた生地を拝見、夕方焼き上がるのを楽しみにしておりました。

海べの森をつくろう会さんは、地域に伝わってきた自然と共生する文化を大切にする活動もなさっています。素材を余すことなく使う考え方、最近使われなくなっている食材のよさを再発見すること、など、楽しみながら学んでいく活動を検討しています。
この日は私たちも、すっかり楽しませて頂きました!
みなさん、本当にありがとうございます。

今年もグリーン基金からの助成を頂きます

グリーン基金贈呈式_2016年

社団法人日本損害保険代理業協会さんから、平成27年度グリーン基金の寄付先に当会の「富士山森林復元活動」を選んで頂きました。
2016年3月17日、神田の損保会館で贈呈式を行って頂きました。今年も当会へ助成をして頂けることになり、感謝申しあげます。

今年は公益財団法人 日本補助犬協会さん、特定非営利活動法人 日本救助犬協会さんが一緒に助成して頂けることになったそうで、この日それぞれの代表のみなさんとご一緒致しました。

補助犬協会さんのホームページ(下図は画面キャプチャ。ここからリンクしています)


日本救助犬協会さんのホームページ(下図は画面キャプチャ。ここからリンクしています)


代協の役員のみなさんや、これら団体の代表者のみなさんとお話する、貴重な機会にもなりました。
贈呈式の後に少しゆっくりお話しをする時間を頂くことができ、お互いの活動についても話し合いました。
活動に手一杯で、なかなか便利な仕組みを活用出来なかったり、分野の違う団体などとの連携が難しかったり。
活動に参加して下さるみなさんの利便を図ることが難しかったり、負担軽減の難しさなどについても話し合いました。2団体は生き物である動物・犬たちならではの支援を行う団体さんですが、主役を担ってくれる犬たちを育て、ストレスをできるだけ軽くして、うまく活動を続けられることのたいへんさに思いを致しました。
活動の内容は違っても、公益法人の持つ悩みには共通のことも多いものです。
このご縁が何かいい方向に広がっていくことがあったら、本当に嬉しいことだと思います。

これからも関心を高く持って、活動していきたいと思いました。

浅間嶺を歩く 日帰り講座

雪の浅間嶺にて

2016年3月12日に、浅間嶺を歩く 首都圏・現地講座を開催致しました。
2、3日前に 案内の秦さんから、檜原村からの現地情報によると、雪が少し残っているようです、とご連絡を頂いておりましたが。
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参加された門司さんから、写真を頂きました!雪景色、なんともいい感じです。

きれいな雪景色を楽しめました、とご報告頂きました。いいですね~!
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山の自然学クラブでは、季節や自然をたっぷり感じることのできる行事を企画しています。
こんな行事があったらよいな、こんな話が聞きたい!など、ご要望もぜひお寄せ下さい。

ヤマケイオンラインに掲載

山の自然学講座2016の案内をヤマケイオンラインに掲載して頂きました

山と渓谷社のサイトで講座の案内を掲載して下さいました。
ありがとうございます!

こちらを見た方から、さっそく受講のお申し込みも頂いています

今週の土曜日が、小泉武栄先生の第1回講座。今年もいよいよ始まります。
前日までにご連絡頂ければ、対応しますので まだまだOK、よろしければご参加下さい。
http://www.yamakei-online.com/journal/detail.php?id=3429

www.yamakei-online.com
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こちらにも使って頂いていますが、今年のパンフレット、きれいなものが仕上がっています。
製作お任せしたのですが、かわいいイメージですね。
みなさんの活動の様子を撮った写真が使ってもらえて、嬉しいです。
パンフレットの配布に協力して下さる方、お知らせ下さい。余部ありますので、お送りします。

2016年初_大蔵喜福理事長メッセージ

2015年会報・はじめに ネパール大地震と山の日

山から始まる自然保護(当会年会報)15号 2016年2月21日発行より
大蔵理事長 巻頭言「はじめに」
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 会報14号に“2016年から8月11日が国民の祝日「山の日」となります。・・・・・中略・・・私たち「山の自然学クラブ」もその理念に則り、何ができるのか、何ならやってみたいのか、会の活動のひとつとして企画することは価値のあることと思います。自然に親しむ中で、自然の保全・保護の重要性を認識してもらう啓蒙活動が我々“山の自然学クラブ”の大きな役割ですが、「山の日」をアピールだけではなく、どのように活用できるかを会員の皆様同士で知恵を絞って考えることも、会の新しい発展に繋がることと思います。”と始めた巻頭言に、当クラブでも一体何ができるのかそれぞれに考えようと宿題にしておいた。
 山の日制定記念と銘打つイベントの一つとして、日本山岳会多摩支部主催の講演会が師走の14日に立川で開かれた。その講師を頼まれていたので、幾つかの提案をした。その一つに子ども達の自然に対する危機管理能力を問題にした。『ある危機感と未来へのメッセージ』として丸7年前、ここに記したことがある。ヒトづくりとは、自然とどう接していくかということが命題であるということと共に、現代の子ども達のデジタル化、言い換えると非現実の世界と現実との境にスイッチがなくなってきている現状を上げた。
 ある子どもがキャンプの最中に「カブトムシが動かないよ、電池切れかな?電池くださーい」と担当の指導員に伝えた。指導員は、生き物と分からせるため?に「電池入れるところあればあげるよ」。返事がないので行ってみると、その子は頭、胴体、手足、カブトムシのカラダをバラバラに切り刻んで電池のありかを探していたというのだ。ぞっとする話だ。まだある。ある夏のキャンプでテント内の事。夕方冷え込んできたので、カゼをひかないように、上着を着て温かくするように指導員が伝えていると、ある子どもが「冷房が効きすぎている、スイッチ切ってよ」と言ったそうだ。
 すべて大人の責任で、自然のなんたるかを体験させていない証拠である。こんなにひどい状況だとは、開いた口がふさがらないのである。ヒトと自然がこれほどまでに乖離しているとは・・・。
 子どもの危機管理能力を作り上げていくには川、野山など大自然に遊ぶことで身につけるしかない。川なら水に逆らって歩く、泳ぐ、へずる、山ならラフな道を安定して歩ける、岩にへばりついても登る。いろんな体系で学べる。子ども達に今もっとも必要なのは、自然体験の量である。“命”をどう守るのかもわかる。この命ということを一番思うのが2011年3・11東日本大震災の大津波に飲み込まれた多くの子ども達の話である。大人の責任で飲み込まれてしまったある小学校の悲劇もあるが、山に逃げるという考えと、登れないような体躯的能力の欠陥を指摘するヒトもいる。

 地震の強度ははるかに異なるが、2015年4月25日ネパールを大地震が襲った。その前と後に偶然、同じエベレスト街道のトレッキングにいく機会に恵まれた。ルクラからナムチェ・バザール、そしてシェルパ族のふるさとクムジュン、クンデの村を周った。使用前・使用後をこの目で見た。5月12日にも近くで余震が起こった。2度の大地震で街道筋の古い建物をはじめこの地方で約300軒が全半壊の被害を被った。特に古く崩れやすい土壁や日干レンガ、石つくりの壁が崩れた。山肌につけられた街道も何箇所も崩れ、爪あとは生々しい。裏山が崩れて家の中に大岩が飛び込んだままの家もあった。村が全滅するほどの被害はターメの村で7人が亡くなったそうだが、クムジュンとクンデの村では、両村で千人の人々が暮らし、150軒に及ぶ家が全半壊したにもかかわらず子どもも含め誰も亡くなっていない。この地方一帯ではターメ以外では無事だった。平素が自然の中での営みのネパールの村の子ども達と、自然乖離が進む日本の子ども達と単純な比較は難しいが、いずれにせよ自然界の掟、自己責任の上に立った危機管理能力というスキルは、ネパールの子どもたちのほうがはるかに強いのに異論は無いだろう。このスキルを“山登り"でつくり上げようというのが私の第一の提案。小学校でも登山という授業をやってほしいものだ。
 つぎに問題にしたのが次代の子ども達にバトンを渡すべき大人の登山スキル。今、山での遭難件数がこの10年うなぎのぼり、ここ数年は2,500件を越える。そのうちの約8割が中高年である。中高年とくくるが実際は60代の団塊の世代である。忍び寄る高齢に自らのスキルに大きな綻びが生じているのに気が付かない。あるいは高齢になってからのビギナーでもともとスキルがない。いずれにしてもその対策は難しい。(この年代がもし山に来なかったら遭難のほとんどは無くなるが、登山人口も激減することになる。)しかし、登山のスキルを上げるためにひとついえることは、踏み込んだ本格的な登山を志すことだ。命のかかるような登山を試みればスキルはおのずと上がる。また、そういったスキルを学び切磋琢磨する場、市井の山岳会を復活させることも最重要な問題となる。仲間が増えればモチベーションも上がり、信頼と協力で、海外登山も可能、自らの手での救助という遭難対策も立てられる。登山者の受け皿として今後の命題である。
 山の日は「登山と安全について考えよう」ではなく、登れる山より『登りたい山に行こう』で、山に登ってスキルを磨くという基本的なことをしっかりやればいいのである。
 本年も会員皆さまのご協力を切にお願い致します。