山の自然学クラブ 事務局ブログ

事務局へ寄せられた、会の活動報告や、会員のみなさまのご活躍を発信します。絵日記担当:中村が更新しています。

山の自然学カレンダー2020 8月・屋久島花之江河のヤクシカ親子

山の自然学カレンダー2020 8月・屋久島花之江河のヤクシカ親子

2020年8月「屋久島花之江河のヤクシカ親子」/大蔵喜福

山の自然学クラブでは、2019年から「山の自然学カレンダー」を製作しています。会員から自然や自然保護に関する写真などを募集して、各自の研鑽に役立てていただく、また、活動のアピールをしていただく活動です。
2020年8月版は大蔵喜福理事長からの応募作「屋久島花之江河のヤクシカ親子」が採用されています。

2020年8月/大蔵喜福・屋久島花之江河のヤクシカ親子

撮影:大蔵喜福
撮影場所:屋久島(鹿児島県)
撮影対象:屋久島花之江河のヤクシカ親子

添えられたテキスト:
屋久島には固有種であるヤクザルやヤクシカが生息しています。花崗岩が特徴的な山岳景観を形成する屋久島では海岸部から標高2,000 m近い山頂部まで標高にともない、低地には亜熱帯の植生、山地には照葉樹林帯~ヤクスギ林帯となる植物の垂直分布が見られます。標高約1,600 m付近に日本最南端の高層湿原である小花之江河と花之江河があり、登山道沿いでも美しい風景が広がります。



山の自然学カレンダーにこれまで応募された作品について、および 2020版(応募案内)についてはホームページをご参照下さい。

「山の自然学カレンダー2021」 については、2020年9月に作品の公募を行い、11月に作成する予定です。会員のみなさんは、ぜひ日頃気になった風景や景色、自然現象を記録していただき、すてきな作品を応募して下さるよう、お願いします!
製作したカレンダーは 一定以上のご寄附をいただいた方にお渡ししています。
詳しくは事務局へお尋ね下さい。

シンポジウム「日本の山と自然をみつめよう-魅力再発見」を開催します!

シンポジウム「日本の山と自然をみつめよう-魅力再発見」

2020年8月29日(土)山の日記念シンポジウム(会場+オンライン)

いつもの山歩き・登山や散策を<もっと>楽しく・知的に・すてきに ~山と自然を学ぶなら!山の自然学講座/山の自然学クラブ

日本の山、自然環境は世界にない特徴があります。その自然と共生してきた地域の歴史や文化も大きな魅力です。近年は特に、環境に負荷をかけない持続可能な登山やツーリズムの必要性が議論されています。
2019年から社会に大きな影響を与えている新型コロナウイルス感染症の流行に関連しても、今後は地域環境に負荷の少ないツーリズムを考えていく必要性が示唆されています。この機会に改めて日本の自然や山岳環境の特徴を見直し、その魅力を活かした楽しみ方を考えてみたいと思います。

※この回はシンポジウム形式で行います。山の自然学講座の全10回に含まれます(会場参加)。申込み受講回からの振り替え/他の講座回と一緒に申込み受付できます。
※前半部分(第一部)を 9月1日(火)〜9月12日(土)まで動画配信します。当日会場にいらっしゃれない方はオンラインチケットご購入の上、こちらをご覧いただくことができます。

シンポジウムのご案内をホームページに掲載しました!
山の自然学講座2020/NPO法人山の自然学クラブ 2020年8月山の日記念シンポジウム


1.日程
(会場開催)2020年8月29日(土) 12:50~16:30
(Web視聴)2020年9月1日~12日 オンライン版の公開
 
2.会場
 新宿区立 新宿歴史博物館 講堂
 東京都新宿区四谷三栄町12-16
 https://www.regasu-shinjuku.or.jp/rekihaku/

3.プログラム
第一部
★ 趣旨説明・あいさつ 中村華子(山の自然学クラブ副理事長)
★(1)基調講演 小泉武栄 氏 (東京学芸大学名誉教授)
 「世界的な視野から見た日本の山 -アルプスとの比較を通じて-」
★(2)講演  橋本祐紀典 氏 (通訳案内士/日本文化体験交流塾会員)
 「ツーリストに伝えたい日本の魅力・自然や地域の魅力について」
★(3)コメント 大蔵喜福理事長 (山の自然学クラブ理事長)
 「これからの山登り・山岳リゾートのあるべき姿とは-南アルプスエコパーク構想を例に-」

 --(休憩)--

第二部
★講演 小泉武栄氏(講演2)
 「八ヶ岳の自然を読む -山の自然学の視点から-」

★意見交換・質疑応答
 司会:中村華子
 パネラー 小泉氏、橋本氏、大蔵理事長
※事前に参加者から寄せられた質問にお答えするコーナーも予定しています。
 質疑応答の一部内容をオンライン版の公開の際にまとめて公開する予定です。

ぜひふるってご参加、ご聴講下さい。

山の自然学講座拡大版 日程が決まりました

8月22日~11月3日に再開・拡大版として実施します

新型コロナウイルスの感染拡大により延期していた講座の開催日程が決まりました。加えて、新しい魅力的なプログラムを実施します。ぜひご参加ください。
以前の分で未実施分・未受講分のある方は新しい日程・講座からお好きな回に振り替えて受講していただいて構いません。ご希望を講座担当者へお知らせ下さい。
新日程分の申込みは先着順に承ります。ご都合に合わせて受講を検討なさって頂き、ぜひご参加下さい。

新追加プログラム

8/29 山の日記念シンポジウム 「日本の山と自然をみつめよう-魅力再発見」(小泉武栄先生 他)
8/22、9/12、10/3 現地講座特別編「五感で学ぼう!自然学-樹木の生き方暮らし方」 (1)〜(3)(石井誠治先生)

 → そのほか、の延期分講座を含めて改訂版日程での参加申込みを開始いたしました。
 「2020年 講座日程」をご覧ください。
山の自然学講座2020/NPO法人山の自然学クラブ


山の自然学講座2020 拡大再開版のご案内・表面(1)

山の自然学講座2020 拡大再開版のご案内・裏面(2)

山の自然学カレンダー2020 7月・鉄を作るチャツボミゴケ/アサギマダラとヨツバヒヨドリ

山の自然学カレンダー2020 7月・チャツボミゴケ/アサギマダラとヨツバヒヨドリ

山の自然学クラブでは、2019年から「山の自然学カレンダー」を製作しています。会員から自然や自然保護に関する写真などを募集して、各自の研鑽に役立てていただく、また、活動のアピールをしていただく活動です。
2020年7月版は室村 聰さんが群馬県中之条町草津町に広がる芳ヶ平湿地群で撮影したチャツボミゴケの写真と、
杉山顕一さんが夏の志賀高原で撮影した「アサギマダラとヨツバヒヨドリ」の応募作が採用されています。

山の自然学カレンダー2020 7月

2020年7月(1)「鉄を作るチャツボミゴケ」/室村 聰

撮影:室村 聰
撮影場所:群馬県中之条町 チャツボミゴケ公園(ラムサール条約登録地)
撮影年月日:2019年 6月9日

添えられたテキスト:
岩に張り付いている緑色のコケが「チャツボミゴケ」です。強酸性の温泉を含んだチャツボミゴケが長い時間をかけて褐鉄鉱を作り出しています。戦時中の鉄需要から露天掘りの鉱山として開発され1966年まで生産していましたが閉山し公園となりました。サンゴや真珠、珪藻土バクテリアの作用で作られているのと同じで、チャツボミゴケも温泉水に含まれるバクテリアの作用で長時間かけて鉄を作り出しているのです。これを「バイオミネラリゼーション」と言います。

2020年7月(2)「アサギマダラとヨツバヒヨドリ」/杉山顕一

撮影:杉山 顕一
撮影場所:志賀高原焼額山
撮影年月日:2018年8月4日
撮影対象:ヨツバヒヨドリの花で吸蜜するアサギマダラ

添えられたテキスト:
夏の志賀高原ではヨツバヒヨドリの花にアサギマダラが乱舞する。それもオス(後翅に黒斑の性標)が多い。オスはこの花蜜からアルカロイド(毒)を吸収して、メスを誘うフェロモンを生成するとともに体内を毒化して外敵の捕食から身を守る。



山の自然学カレンダーにこれまで応募された作品について、および 2020版(応募案内)についてはホームページをご参照下さい。

「山の自然学カレンダー2021」 については、2020年9月に作品の公募を行い、11月に作成する予定です。会員のみなさんは、ぜひ日頃気になった風景や景色、自然現象を記録していただき、すてきな作品を応募して下さるよう、お願いします!
製作したカレンダーは 一定以上のご寄附をいただいた方にお渡ししています。
詳しくは事務局へお尋ね下さい。

〜いつもの⼭歩きが、“もっと”楽しくなる!【⼭の⾃然学講座2020】再開講のご案内〜

いつもの⼭歩きが、“もっと”楽しくなる!「⼭の⾃然学講座2020」ご案内

新型コロナウイルスの感染拡大により延期していた「山の自然学講座2020」拡大版で8 月~ 11 月に講座を再開・開催します!

【山の自然学講座2020】について、新しい日程+ 再開記念の講演会などの企画も含めて改めてご案内を作成いたしました。ご都合に合わせてぜひご参加下さい。受講申込み済みの皆様には講座担当からも詳しく案内致します。
7月中旬に各回のご案内を公開して、参加の受付を始められるように準備を進めています。
公開されましたらまたメールやホームページでご案内いたしますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

再開講にあたり小泉武栄先生による追加のキックオフ特別講演会を開催します
現地講座「樹木の生き方暮らし方」については場所・時期を追加して3 回実施します

【山の自然学講座2020】拡大版プログラム http://www.shizen.or.jp/basic/
※室内講座会場について
 会場は全回分、都内会場を予定しております。
 予約手配をしなおしておりますので、それぞれの講座ホームページでご確認下さい。

記念講演会「改めて・山の自然学とっておき!」小泉武栄先生

8 月29 日(土) 12:50 ~ 17:00 (全体プログラム検討中)
山の自然学とは?/日本の山が出来るまで/自然は観察してこそ面白い! ・・など

室内講座

9 月15 日(火)18:30 ~ 20:50
  池田明彦先生「日本の動植物相の起源-分布と地史」
9 月29 日(火)18:30 ~ 20:50
  佐藤篤司先生「雪と氷の世界-魅力的で危ない物質」
10 月20 日(火)18:30 ~ 20:50
  多田多恵子先生「したたかな植物たち-植物の生存と繁殖の戦略」
10 月31 日(土)13:30 ~ 17:00
  大蔵喜福理事長「アウトドアで考える自然学-環境異変を現場で考える」
  (講演終了後終了のあいさつ、修了証授与式、希望者の懇談会等含む)

現地講座

五感で学ぼう!自然学-樹木の生き方暮らし方・1 ~ 3 石井誠治先生
 (1)8 月22 日(土)代々木駅~明治神宮(渋谷区)
 (2)9 月12 日(土)石井誠治先生東高根森林公園川崎市
 (3)10 月3 日(土)石井誠治先生多摩森林科学園(八王子市)
三頭山:地形と植生観察/ブナ林の現状と将来 増澤 直先生
 11 月3 日(火・祝日) 三頭山・東京都檜原都民の森

再開にあたって(ご案内)

★ 状況に応じて実施内容を再度変更する可能性がありますのでそのことはご了承の上、内容をホームページでご確認下さい。受講申込み済みの方には直接ご連絡いたします。
★ 室内講座の会場は、会場定員の半分までを参加者人数の上限として募集させて頂きます。
また、できるだけ通風のよい広い部屋を条件として選定する予定です。会場が決定いたしましたら、各講座ホームページに掲載します。当初案内と会場が変更になりますのでお申し込みの際にはそれぞれの講座会場をご確認下さい。


山の自然学講座2020 について
 「山の自然学講座」では室内と現地(屋外)の講座を連続して開催して、山と自然の成り立ちについて講義します。毎年10 回連続シリーズで実施していますが、2020 年は4 回まで実施したところで残り日程を延期していました。このたび8 月以降に開催日を変更して残りの講座+オプションを加えて企画し直しました。都合のよい日程や会場を選んで、この機会にぜひご参加下さい。1 回ごとに、お好きな講座を選んで受講して頂くことも可能です。
日本の山は世界の山に類を見ない特徴があります。この講座で基礎的な「自然学への第一歩」を経験してもらうことで、より深い自然への意識付けを提供し、ここから始まる活動の一助とする目的で実施します。講座では毎回異なる分野で活躍する方々を講師に招き、自然の成り立ちや様々な表情をじっくりと学びます。地形、地質、気候、植生などの成り立ちや相互の関連について広く見る目を養って、楽しい知的登山に生かしませんか。

主 催: 特定非営利活動法人山の自然学クラブ
参加費:3,500 円/一講座(山の自然学クラブ/後援団体の会員は3,000 円)
  全10 回を申し込み済みの方は10 回までお好きな講座を受講していただけます。
  それ以降分の追加は個別にお申し込み下さい。

【山の自然学講座2020】http://www.shizen.or.jp/basic/
(HP の申込フォームから申込みできます)

山の自然学講座2020パンフレット画像部分

山の自然学カレンダー2020 6月・白馬乗鞍岳

山の自然学カレンダー2020 6月・白馬乗鞍

2020年6月「白馬乗鞍岳」/門司 和夫

山の自然学クラブでは、2019年から「山の自然学カレンダー」を製作しています。会員から自然や自然保護に関する写真などを募集して、各自の研鑽に役立てていただく、また、活動のアピールをしていただく活動です。
2020年6月版は日本野鳥の会東京支部でも活躍されている 門司 和夫さんからの応募作「白馬乗鞍岳」が採用されています。

2020年6月「白馬乗鞍岳」/門司 和夫


撮影:門司 和夫
撮影場所:栂池自然園
撮影年月日:2019年8月25日
撮影対象:白馬乗鞍岳南斜面の地滑り地形

添えられたテキスト:
白馬乗鞍岳(2,437 m)南斜面の地滑り地形。2019年8月24日(土)~26日(月)の山の自然学32回信州講座に参加。2日目の朝、栂池自然園から前日の北原講師の詳しい解説の復習として撮影した。北アルプス北部の地滑り地形の特徴が、まだら模様となって見事に現れている。



山の自然学カレンダーにこれまで応募された作品について、および 2020版(応募案内)についてはホームページをご参照下さい。

「山の自然学カレンダー2021」 については、2020年9月に作品の公募を行い、11月に作成する予定です。会員のみなさんは、ぜひ日頃気になった風景や景色、自然現象を記録していただき、すてきな作品を応募して下さるよう、お願いします!
製作したカレンダーは 一定以上のご寄附をいただいた方にお渡ししています。
詳しくは事務局へお尋ね下さい。

身近なところから-初夏の植物観察のすすめ

小満/初夏の観察会・番外編

遠くに行かなくても楽しみはたくさんあります。身近な自然や植物をじっくり観察してみましょう。

樹木ハカセ・石井誠治さんと観察ポイントの紹介動画を作成中!

今年は山の自然学クラブの活動や行事も延期等が続いてしまっていましたので、なかなかみなさんとお目にかかれずにおります。そろそろ、状況を見ながら 屋外行事などから計画を立ててご案内させていただきたいと思います。
会員のみなさん、関連のみなさまには お体に気をつけて頂き、ぜひまた元気に講座等ご一緒できればと存じます。

和田倉門 2020年5月24日撮影
季節は小満。植物も新しい葉を広げ、生き物たちが生き生きと輝く美しい季節です。外に出ないでいるなんてもったいない!・・ぜひご用のついでやお住まいの近くなど 無理のない範囲で屋外・植物の観察など楽しんで頂きたいと思います。
こちらは江戸城の和田倉門です(下記観察とは別の日に撮影)。門前の和田倉橋の擬宝珠は、復旧以前のかつての橋に使用されていたものをそのまま使っているそうです。東京駅からすぐ近く、和田倉の堀や門の周りは鳥も多く見られ、公園や周辺もきれいに整備されていますので、ぜひ近くへいらしたときには観察してみて下さい。

さて、さて、2020年は4月から活動や講座の多くが延期となってしまって、みなさんと一緒に観察や講座を出来る機会が少なくなってしまっています。
それで、石井誠治さんと相談して、自宅の近くでも出来る観察ポイント、この時期見頃になる植物などをみなさんに紹介する動画を作成して配信してみようかと言うことになりまして 近隣の公園で動画を撮影して参りました。

2020年5月28日 撮影のようす
こちらは子どもがしかられているようにも見えてしまうかもしれませんが(笑)
フキとツワブキがすぐ近くにあって比べてみられるね!と撮影しているところです。

ちょうど今は旧暦では閏卯月であり、新暦カレンダーでは5月・皐月です。ウツギのお花と、サツキのお花を両方観察することが出来ました。どちらもよく目立つ、きれいなお花です。白いお花はどんな虫にもよく見えますが、赤系統の色はチョウチョ(アゲハ類)にはよく見えるそうです。受粉してもらう相手との共進化の賜物ですね。

ウツギの花
 
2020年5月28日 サツキの花

ネズミモチトウネズミモチもちょうど並んでいるところがあり、一緒に観察することが出来ました。ネズミモチの花のよい香りが周辺に漂っていて(残念ながら香りは今回の動画にはのせられませんが)ミツバチなどの虫たちがたくさんやってきていました。花の蜜をもらいに来ているときには虫たちが争っているところをあまり見ませんが、みんなで蟹を食べているときに 夢中になってしまう私たち(?)と同じような感じなのでしょうか;

ネズミモチの花にやってきたミツバチたち

石井さんのトークに引き込まれて、飛び入りで聴講したラッキーなご近所の方も一緒に。観察の協力もしていただきました! ご協力ありがとうございます。

2020年5月28日 観察動画撮影の様子


ちょうどお天気もよく、日影が気持ちよいくらいのお天気に恵まれ、楽しい一日の観察会となりました。みなさんを連れて行かずに楽しんでしまって申し訳ないようでもありますが、映像をぜひ楽しみにしていただきたいと存じます。
この日 石井さんは 現地講座1回分よりも多いくらいの観察ネタを披露して下さいました(ひとりで話しっぱなしでしたからね、すみません)。しばらく観察会なども中止になってしまっていたので久しぶりにこんなに話しました!とのこと、お疲れになってしまったかもしれませんが、本当にありがとうございます。


今回撮影した画像は、1週間程度で編集したダイジェスト(もしくは部分)版の無料配信用を作成して、山の自然学チャンネルで一部を公開しますので、ぜひ楽しみにしていて下さい!
そして、その後、残りの映像は今後、教材等にも使用できるように、とりまとめ致します。講座等に遠方からで参加できなくなってしまった方に、まとめてお送りするなどの活用/対応も検討していきたいと考えています。また改めてご案内いたします。

ようやく 近く・少人数であればお出かけもしやすくなって参りましたので、今回の動画をぜひみなさんに活用していただこうと思います。

新型コロナウイルス感染症に関するご案内に関連して

当会では(当面)social distancing と physical distancingを使い分けます

社会距離拡大戦略(social distancing) は、感染症の拡散を停止または減速させることを目的とした医薬品を使わない感染抑制のための手段として使用されている言葉です。
それは、人と人との間に物理的な距離・接触機会・時間をおく/とることによって、人が密接な接触を行う機会を減少させる方策のこと となります。
典型的な方策として、他者から一定の距離を保つこと(目的となる対象・ウイルス、時と場合により距離の取り方等は変わってきます)や、大きなグループでの集まりを避けることがわかりやすい対応方法のひとつです。
社会距離を置く目的は、感染症のある人と感染していない人との接触の可能性を減らし、病気の伝染、罹患率、そして最終的には死亡率を最小限にすること となります。

日本語での表現としては、「社会(的)距離戦略」、「人的接触距離の確保」、「社会的距離の確保」、片仮名で転写した「ソーシャル・ディスタンシング」やわかりやすく言い換えて「人混みを避ける」などがあるようです。
これは、前記の social distancing(社会距離拡大戦略)を訳したり転用しているわけですが、
ここのところ 新型コロナウイルスの感染防止対策で「ソーシャルディスタンスを取りましょう」と案内(指示/要請)されているようです。

公衆衛生戦略分野で使用されている<social distancing>は本来この用語が使用されている
社会学用語としての<social distance>の訳語である社会的距離(ソーシャルディスタンス)とは本来はことなる概念であり、分けて考える・使用するべきものでもあると考えます。
日本語ではsocial distancingの訳語としても認知されてきており、英語でも物理的な対人間の距離を示す語としてあまり区別なく用いられることが多いようですが、社会的分断や人・集団・組織の区別につながる可能性もあり、この言葉の使い方には気をつけたいと考えます。

今回2019年から続く新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行期において 世界保健機関(WHO)は感染を防止するのはあくまで物理的な距離であり、人の社会的なつながりとは区別して考えるべき(注:かなり意訳/略していますので、正確な表現とは言えないかもしれません)という概念に基づき、「社会的」(social) 距離の代わりに「物理的」(physical) 距離という用語を用いるよう提案しています。
筆者はこの意見に強く賛同します。 したがいまして、今後、当会事務局としては この二つの用語は場面に応じて使い分けるようにしたいと考えています。
つまり 生き物同士(人と人を含む)の物理的な距離については physical distancingを使用します。日本語で話す場合は身体的距離、物理的距離などの言葉は言いにくいし、わかりにくいので、<ふぃじかるでぃすたんす>と当面は表現したいと考えています。(どちらもすでに広く使われていますので、他の方や団体が使用することに関して申し上げるものではありません。)

2020年5月29日記
特定非営利活動法人山の自然学クラブ副理事長 中村華子