山の自然学クラブ 事務局ブログ

事務局へ寄せられた、会の活動報告や、会員のみなさまのご活躍を発信します。絵日記担当:中村が更新しています。

首都圏講座「新緑を歩く~養老渓谷&チバニアン~」

首都圏講座 「新緑を歩く~養老渓谷チバニアン~」

2019年5月18日・山の自然学現地講座

山の自然学クラブでは5月18日、市原での現地講座を実施しました。講座を企画して下さった傍島さんから、当日の報告を頂きました。
新緑と里地、川の流れと人の関わりをたっぷり実感する一日となりました!

手軽なハイキングで人気の養老渓谷には多くの方は、一度は訪れた経験があることでしょう。
今回は通常のハイキングでは見落としがちな養老渓谷の歴史と自然を学び、さらに話題のチバニアン露頭の見学も・・と欲張りました。

まずは、高台からウエンダイ(上の台)の川廻し地形を観察します。稲田のあるところが元の養老川、現在の養老川は観音橋(右奥の赤い橋)の下です。このあと観音橋に行き、現在の地形から川廻し前の地形を想像しました。

川廻し
養老川で川廻しが発達したのは地史的、地質的、当時の社会事情があったことを確認しました。

出口が二つあるとして人気のスポットになっている二階建てトンネルを通行しました。
カメラで撮ると神秘的な写真になります。

二階建トンネル
手前の共栄トンネルに、向こうの低い方から、もう一本のトンネル(向山トンネル)を繋げたことでこんな形が出来上がったそうです。交通の利便性を求めた素掘り工事が、時を経てから新たな名所になったわけですねぇ。

トンネルを出たところで崖からしみ出す温泉の源泉や、養老川に残る昔の橋の基礎(丸太)を見学しました。中瀬遊歩道に入り左に右に、大田代層や断層、弘文洞を観察しました。
弘文洞は江戸時代に川廻しの権利獲得をめぐって二つの村がトンネルの速堀競争の歴史があったこと。また上部が崩落してしまったとのことです。弘文洞の崖の右は乾燥し、左が湿っているのは何故か。参加者から地層が右下(北方向)に傾いているからとの正解が出ました。

弘文洞

梅ケ瀬層の露頭で、砂層勝ちの層と泥岩の互層や鍵層を観察しました。今日は幸い天気に恵まれましたので、露頭下の河原で昼食としました。誰からともなく化石探しが始まり、2枚貝の化石が何個か見つかりました。まだ固まり切っていないものもあり、「化石の定義は何?」との疑問も飛び出したりして、楽しいランチタイムとなりました。

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梅ケ瀬層露頭で昼食_二枚貝の化石も!

このあと養老渓谷駅の裏手で、黒川の川廻しを見学しました。川廻しがアダになって氾濫を招いたことから、トンネルを切通しにしたことなどの歴史を確認しました。

月崎駅からはチバニアンを目指し、ひたすら歩きます。今回は露頭見学を大きな目的にされてきた参加者が多かったように感じました。コンパスの針の動きから磁場逆転を探ろうとする熱心な方もいたりして・・。「念願のチバニアン見学がかなって満足」との声が幾人から聞かれました。

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チバニアン露頭見学

山の自然学クラブでは、自然の成り立ちを体験する行事を各地で行っています。活動や行事の詳細はホームページをご参照下さい。
今回の講座案内はこちら(山の自然学クラブホームページ)に掲載しています。